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医院開業情報

⑭開業医のライフプラン

 ライフプラン(生涯設計)について、ゆっくりとお考えになられたことはありますか。ライフプランとは、ご自身又はご家族がこの先『いつ・どのようなことをしたいのか(ライフイベントと言います)』『そのために準備すべき資金は?』などを具体的にしたものを指します。

 開業を控えた先生、あるいは開業直後の先生は、なかなかライフプランのことまで考える時間的余裕が無いことが多いと思います。しかし、『開業』というのは先生ご自身の生涯設計に大きな影響を与えるのは言うまでもありません。開業医が経済的に恵まれていた時代と異なり、現在は診療報酬の抑制・競合医院の増加・患者ニーズの多様化など、開業医を取り巻く環境はとても厳しいものになっています。「資金調達のための『事業計画』だけは作成して残りは開業してから」では、取り返しがつかない又は取り返すのに多くの時間を必要とする場合もあります。
 ライフプランを検討したからといって、そのとおりに進むとは限りません。しかし、今は実現不可能なものであっても「実現したいこと・なりたい未来」がはっきりしていれば、何をいつまでにどう修正したらいいかが明確になります。

 開業時に検討しておくとよいライフイベントとしては次のようなものがあります。
①ご両親の相続対策(開業時にはご両親から資金の協力をしてもらったりと、少なからず相続への影響があります。開業を前に相続対策を検討されることが望ましいです)
②引退時期(開業してすぐに何を!?と思われるかもしれませんが、開業したからには必ず廃業するのですから必須事項です)
③引退の方法(廃業・子どもに承継・第三者に承継など)
④退職金のおおよその希望額
⑤退職後の生活・毎月の必要資金等
⑥生命保険の加入・見直し
⑦自宅の建築、住宅ローン、火災保険

 開業後にお世話になることが多い会計事務所は、先生の医院経営に関する会計と税務のご相談にだけお答えをしているわけではありません。先生ご自身、奥様とお子さまのそれぞれのライフプランを実現するために、一緒にライフプランを考えていくブレーンとしての存在です。
 まずは開業というタイミングで、相続をはじめとするライフイベントについて少しだけ専門家にご相談をされてはいかがでしょうか。

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⑬開業前にこそやっておきたい経営戦略の立案


 昨今の医院の経営状況を鑑みていくと、開業すれば放っておいても患者さんが集まるという時代は終わり、医院経営も成り行き経営では成り立たない状況になってきました。特に都市部においては機能分化の波の中、漫然と手をこまねいていては生き残りすらも厳しく、診療所の存在価値を発揮するためには戦略の立案は不可避の課題になってきています。

 戦略の立案は開業前の段階から準備する事が出来ます。そして、戦略立案の視点としては大きく2つのアプローチが存在します。マーケットインとプロダクトアウトです。
 マーケットインは市場ニーズつまり医院経営においては主として周辺医療機関ニーズと地域患者ニーズの追求を中心とするマネジメントスタイルです。開業前であれば診療圏調査を実施したり、開業後であれば患者満足度アンケート調査などを活用しながら取り組むことになります。
 それに対してプロダクトアウトというスタイルは自分のやりたい事から入り、それを現実的に強化していく方法になります。こちらのアプローチは最終的には医院の「強み」とそれを生みだす「努力」を明確にして、強みを生みだすためのストーリー(知的な活動の連鎖)を作りだしていきます。この実践を通じて、医院の付加価値(ブランド)作りにも寄与する方法です。

 そして、プロダクトアウトでの戦略立案を具体的に実行するには業務の流れを枠組みで把握していくことが最初はとても有用です。つまり、「理念⇒戦略(努力)⇒強み(こだわり)⇒サービス」という大枠での流れに知的な活動をあてはめながらフローチャートを作り、業務全体の流れをストーリーとして整理していくことから始めます。
 たとえば、糖尿病を専門とする内科医院があります。この医院の強みは「病院嫌いで医療機関を避けている患者さんを集めることが出来るノウハウ」です。この強みを生みだすための努力として、この内科医院では院内でフラダンス教室などの運動イベントを開催するほか、地域での自治会や老人会において楽しい健康講座にも講師を派遣しています。このような運動療法や時には食事療法の情報発信に力を入れることを通じて、病院嫌いの方々が持っている「病医院=薬物療法、暗い、きつい」のレッテルを上手に回避し、病院嫌いの患者さんの支持を得ていきます。健康講座では積極的に参加者一人一人とのコミュニケーションを図り、患者さんとの心の距離も縮めています。このような強みを生む努力を通じて、強みを維持し、医院の理念である「一人一人に寄り添う」という価値を実現しているのです。

 このようなストーリーができると医院にブランド価値が発生することにもつながっていきます。正しいストーリー作りには時間を要するものです。開業前にこそ、医院の価値創造のストーリー作りに時間を割いておかれることをお勧め致します。

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⑫あえて激戦地に開業するという選択

 帝国データバンクの調査結果によると、2010年の病院・開業医の倒産は41件で、過去最高を記録した前年の52件を下回る結果となりました。倒産が減少した要因としては金融円滑化法の影響で一時的に借入金の返済が止まっている様相が推測できます。返済が再開される2012年には、その反動も懸念されるところです。41件の内訳をみると、病院の倒産が13件、医科診療所が16件、歯科診療所が12件となっております。負債総額でみると、病院191億2,000万円、医科診療所129億5,400万円、歯科診療所31億3,300万円です。

 このような時代の中で新規開業をするにあたり、立地の選定はこれまで以上に慎重に行わざるを得ない状況です。しかし表面的な診療圏調査では、いわゆる穴場は都市部では見つけられなくなってきました。最近では表面的な数字にとらわれ過ぎると開業地がなかなか見つからず、開業に踏み切れない勤務医の方が増えています。そこで、診療圏調査では来院予測患者が少ない立地でも、開業に成功するためのポイントを列挙してみたいと思います。

 1つ目は競合医院の院長年齢を詳しく調べることです。診療圏調査では院長の年齢までは来院予測に加味されないケースがほとんどです。よって、80歳の医師も40歳の医師と同数の患者を診ると想定されます。その地域での開業医の高齢化が進んでいる場合、診療圏調査の予測以上に患者さんが来られることは想像に難くありません。

2つ目は特異性の発揮です。CTやMRIなどの高額な医療機器を設置するか、専門性のある医療サービスを提供することによって一般的な予測診療圏より広範囲な診療圏から患者さんを確保でき、そして同じ診療科を掲げている診療所とも連携が可能になります。たとえば、内科の中でも代謝内科、消化器内科、循環器内科、血液内科、腎臓内科などで高度な専門医療を提供する診療所や、往診の後方支援体制のある有床診療所は、小規模な専門病院のような存在感を発揮し、他の内科診療所との連携が現実に生じています。

 3つ目は病院との連携です。これまで病診連携という言葉はあるものの、地域によっては積極的に連携の進んでいない地域が多くありました。しかし、地域医療支援病院のような紹介・逆紹介重視の病院が増え、病院の経営改革も進んでいく中で外来機能の分離を進めていきたい病院は、今後まだまだ増加していきます。よって、今後は病院の方向性に関する情報を集めた上でその最寄りで開業することも大事なポイントになります。

 以上、激戦地でも成功する要因を列挙させていただきましたが、どのような穴場で開業したとしても、その後、環境が変化しない保証はありません。一番大事なことは最初の患者数が少なくても、じっくりと伸ばせるような、いわゆる“自力”を強化することになります。競合の増減に左右されることなく医院の特異性を適切に活用し、経営基盤を地道に確立していくことが最重要課題です。地域のために自分と周囲を活かすマネジメントの実践こそが、激戦地であっても開業を成功させるための必要な方策となります。

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⑪ホームページ作成時のとっておきポイント

 医院経営にとってホームページはなくてはならないものになりました。少し前まで新規患者さんは口コミによって来院することがほとんどでした。しかし、現在では口コミで存在を知り、ホームページを確認してから来院するという流れに変わりました。さらに、口コミではなく、いきなりインターネットの検索サイトでクリニックを探すという患者さんも増えています。もしくは、インターネット上の口コミサイトを確認し、そこからさらにホームページを確認し、そして来院するという方も少なくありません。そこで今回はクリニックのホームページ作成時の注意点をご紹介したいと思います。

①ホームページを作成する目的が明確になっているか
当たり前のことと思いがちですが、意外とこの部分があやふやなまま作成される方が多いのではないでしょうか。
目的がはっきりとしないホームページはつかみどころがなく、クリニックの魅力がうまく伝わりません。

②専門分野・こだわり・強みがしっかりと伝えられているか
多くの患者さんに来てほしいと思うあまり、「何でもできる=何が強みか分からない」という作りになってしまうことがあります。ホームページに限らず経営そのものに言えることですが、まずは強みを活かすためターゲット(患者さん)を絞るというやり方の方がうまくいく可能性が高まります。

③わかりやすい言葉を使っているか
専門分野をアピールするために、どうしても専門用語を使ってしまう傾向があります。初めてホームページを訪れた人が、そのホームページを評価(クリニックを評価)する際の指標として「わかりやすさ」は非常に重要なポイントです。専門用語は極力使わず、シンプルでわかりやすい内容にすることが求められます。

④院長の理念や方針がしっかり書かれているか
どこのクリニックでもよいと思う患者さんはそもそもホームページを確認したりはしません。どのようなクリニックなのか、院長はどんな方なのか、ということを少しでも事前に知るためにホームページを確認するのです。誇張することなく素直に院長の「想い」を掲載して頂ければよいと思います。

⑤検索エンジン対策(SEO)を行っているか
SEOは検索サイトの検索結果を上位に表示させるための対策です。せっかく作ったホームページも検索サイトの上位に表示されなければ見てもらう可能性が低くなってしまいます。また、SEOは個人では限界がありますので、専門家に依頼するなどして、適切な対策を講じる必要があります。

⑥頻繁に更新されているか
最新の更新が数カ月前、数年前というホームページでは、興味を持って中身を見ようという気になりません。また、検索エンジンで上位に表示される可能性も低くなります。ホームページを作ったからには、頻繁に更新して最新の情報を発信することを心掛けましょう。世間で話題になっている病気や流行っている感染症について、すかさず関連記事をアップすることも効果的な手段です。

⑦ホームページ以外のツールを積極的に活用しているか
ブログ、メルマガ、ツイッター、フェイスブックなどと有機的に繋がりを持たせることにより、ホームページの閲覧者数を増加させることが可能です。また、それぞれが独立した情報発信、コミュニケーションツールにもなります。例えば、ブログやツイッターはより個人的な情報発信が可能であり、患者さんに親近感を持ってもらうには最適なツールです。

 最後に、ホームページは作ることが目的ではありません。作った後いかに継続して活用していくかが重要です。我が子や分身のような気持ちで、末長くメンテナンスをして頂ければと思います。

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⑩集患に成功する広告戦略

 開業して何年も経てば、「口コミ」が集患に成功する上で一番有効な手段となります。一方、開業当初は、自院を地域住民の方々に知って頂くための立看板や電柱広告、電話帳広告などの広告媒体の活用が、新患の獲得に大きな影響を与えます。広告媒体は、数が多ければ相応の効果が見込めますが、その分費用も多額になります。診療所を経営する上では、常に費用対効果を考え、各媒体の特徴を踏まえて、自院の診療科目や開業地にあった方法を選択する必要があります。

 医療機関の広告には、いくつか気を付けるべきポイントがあります。近年は緩和されつつあるとはいえ、広告の内容は医療法第6条の5と「広告告示」で示された事項に限られ、厚生労働省から出された「医療広告ガイドライン」に沿って作成されたものに制限されます。
 広告を行う場合の基準ですが、①他の医療機関と比較して優良である旨②誇大広告③客観的事実であることを証明できない④公序良俗に反するなどの内容に該当してはならないと定められています。
 医療広告ガイドラインで留意が必要な例としては、患者が回復して元気になる姿のイラスト(誇大広告)、最高の医療の提供を約束(客観的事実を証明できない)、絶対安全な手術です(虚偽広告)、著名人も当院で治療を受けています(優良誤認を与える)、新聞や雑誌で取り上げられた旨(広告不可)、死亡率、術後生存率、未承認医薬品の使用(広告不可)、知事の許可を取得した診療所(特別な許可を得たとの誤認を与える誇大広告)などがあります。

 一方、広告とは見なされず、前述の広告規制の対象とならないものに、インターネット上のホームページ(バナー広告を除く)、医療機関の職員募集に関する広告、院内掲示・院内配布用のパンフレット、学術論文、新聞や雑誌等での記事(記事風広告を除く)などがあります。
 この中でもホームページは、少ない費用でたくさんの情報をタイムリーに発信することが可能なため、とても有効な広告手段といえます。高齢者にはまだまだ一般的ではないとの声もありますが、若い世代ではインターネットを電話帳や地図の感覚で使うことが日常的となっており、とても有効なツールとして多くの医療機関で用いられています。

 最近は、開業前にコンサルティング会社がお手伝いして院内見学会や内覧会を行い、地域住民をご招待して無料で骨密度測定を行ったり、粗品を配ったりする医療機関が増えています。開業案内の新聞折込チラシは効果が高いですが、配布をする日付や曜日を厳選する必要があります。
 電話帳の広告は、近年衰退しており、効果の評価が分かれますが、お年寄りの多い地域などでは効果的です。電柱広告の設置は、広告としての効果は少ないですが、道案内の機能があり、野立看板と組み合わせることにより、効果的に診療所への誘導が期待できます。駅構内での看板設置は、費用が高く、同じ値段でも位置によって効果に大きな差があります。バスや電車の中吊り・車内放送は、通勤通学中に繰り返し目にしたり、耳にしたりするため、記憶に残りやすいという効果が期待できます。駅やバス停の近くに診療所があれば、更に高い効果が期待できます。

 一日も早く地域住民の方々に自院を知って頂くためには、開業前から広告手段を厳選し、綿密な準備を行う事が大切です。広告は大きな出費となるため、専門家による客観的な意見や、他院の状況などを参考に、慎重に検討されることをお勧めします。

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