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医院開業情報

⑯開業スタイルについて

 今月は開業スタイルについて開業前、特に慎重に検討すべき3つのポイントをご紹介致します。
 開業スタイルを考える主な点として、重要なのは『標榜科目』『開業の目的』と『開業の形態』です。標榜科目は、自分のやりたい内容に専門的な科目ともう少し広い科目や関連疾病の多い科目を併せて標榜するのが、診療所の役割が全体的にプライマリ・ケアへと向かっているという医療行政の方向性を考えると無難に思います。

1.標榜できる診療科名
 標榜できる科目は政令によって定められています。2008年4月1日から、それまで定められていた医科・歯科あわせて42の診療科目名から、基本的な診療科名と①部位や臓器、②疾病や病態、③患者の特性、④医学的処置として示された項目と組み合わせて標榜できることとなり、大幅に増えました。(例:循環器内科・糖尿病内科・女性内科・内視鏡内科など)

2.開業の目的から考える
 診療所の機能を類型化すると次の3つのパターンがあります。
(1)プライマリ・ケア型
 風邪や腹痛など軽度の急性疾患や慢性疾患の管理などを中心に患者の総合的な健康管理を担うタイプで、内科系を標榜している診療所に多く見受けられます。病院や専門性の高い診療所、介護・福祉施設との連携が重要です。
(2)専門特化型
 院長の専門分野を診療の中心に置きます。内科系では糖尿病や肝臓疾患など単一の疾患、小児科ではアレルギー疾患、眼科の白内障日帰り手術、整形外科のリウマチ疾患・スポーツ整形など各科で専門性を打ち出す診療所が増えています。
(3)介護・福祉型
 寝たきりの高齢者の訪問診療や訪問看護の在宅医療を主とし、訪問介護、通所リハビリテーションなどを積極的に活用するタイプの診療所です。医療保険のみでなく、今後の医療現場では介護保険との関わりも多くなります。

3.開業の形態 ~テナント開業(ビル開業)か一戸建てか~
 診療科や対象とする患者、診療所の機能により選択します。開業地の選択は開業後の動向を決める最も重要な要素の一つであり、十分な考慮が必要です。
【テナント開業のメリット】
①比較的少ない資金で開業できる。
②職住分離ができる。
③大型店舗内での開業では他店舗の集客能力が活用できる。
④医療モールでの開業は他の医療機関との連携がしやすく、患者の利便性が向上する。
【テナント開業のデメリット】
①テナントのため診療所が融資の担保にならない。
②一戸建てよりも診療所の認知度が低くなり、看板の掲示なども制約を受ける場合がある。
③使用可能なスペースが限定されるため、診療内容が制限されやすい。
④専用駐車場を十分に確保できない場合がある。

 上記以外にも、診療時間は何時から何時にするか、休診日はいつにするか、在宅診療はどうするかなど、様々に考慮するべきことがあります。専門家による客観的な意見や、他院の状況などを参考に、慎重に検討されることをお勧めします。

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⑮勤務医のための確定申告の注意点

 1月に入り、確定申告の時期が近づいてまいりました。そこで今月は、確定申告を行う際の注意点をご紹介致します。

1.扶養控除の改正について
 平成22年度税制改正により、平成23年12月31日時点で0歳から18歳のお子様を扶養している場合、扶養控除-の額が減額されることになりました。
具体的には、0歳から15歳のお子様を扶養している場合、昨年まではお一人につき38万円の扶養控除を受けることができましたが、今年からは扶養控除が廃止(0円)になりました。16歳から18歳のお子様を扶養している場合、昨年まではお一人につき63万円の扶養控除を受けることができましたが、今年からは控除額が38万円に減額されました。
 もし仮に、13歳と16歳のお子様を扶養している場合、昨年までは38万円プラス63万円で合計101万円の扶養控除を受けることができましたが、今年からは、38万円の控除になります。仮に年収1,000万円の方の所得税・住民税の税率が30%とした場合、扶養控除の差額分63万円×30%の、18万9千円が実質的な増税となります。

2.寄付をされた場合
 昨年の東日本大震災以降、寄付をされた方が多いかと思います。国や地方公共団体、日本赤十字に寄付をした場合などは、一定の要件を満たせば確定申告で「寄付金控除」を受けることができます。
【計算式】 次のいずれか低い金額 – 2千円= 寄附金控除額
イ その年に支出した特定寄附金の額の合計額
ロ その年の総所得金額等※の40%相当額
※「総所得金額等」とは、純損失・雑損失の繰越控除後の給与所得や不動産所得、株式等の譲渡所得、配当所得など、すべての所得の合計額のことをいいます。
ただし領収書等の添付が必要となりますので、募金箱への寄付は対象外となります。また、医師会が募っている寄付金も対象外となる場合が多いので、申告の前に一度医師会にお問い合わせ下さい。

3.医療費控除について
 平成23年中に支払った医療費の合計額が10万円を超える場合は、ご自身と同一生計のご家族の分もあわせて「医療費控除」を受けることができます(上限金額200万円)。
【計算式】(支払った医療費の合計額-生命保険等の給付金)-10万円※=医療費控除額
※その年の総所得金額等が200万円未満の方は、総所得金額等の5%の金額
 この際、医療費控除は何月分の診察かではなく、支払った月で判定するため、12月分の入院費用を1月に支払った場合は、翌年の医療費となりますのでお気を付け下さい。また、生命保険からの給付金や、出産育児一時金の受取額は、支払った医療費から差し引かれることになります。生命保険の給付金や出産育児一時金については、翌年に給付される予定であっても、今年支払った医療費に対するものであれば、今年の医療費から控除しなくてはいけませんので、ご注意下さい。

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⑭開業医のライフプラン

 ライフプラン(生涯設計)について、ゆっくりとお考えになられたことはありますか。ライフプランとは、ご自身又はご家族がこの先『いつ・どのようなことをしたいのか(ライフイベントと言います)』『そのために準備すべき資金は?』などを具体的にしたものを指します。

 開業を控えた先生、あるいは開業直後の先生は、なかなかライフプランのことまで考える時間的余裕が無いことが多いと思います。しかし、『開業』というのは先生ご自身の生涯設計に大きな影響を与えるのは言うまでもありません。開業医が経済的に恵まれていた時代と異なり、現在は診療報酬の抑制・競合医院の増加・患者ニーズの多様化など、開業医を取り巻く環境はとても厳しいものになっています。「資金調達のための『事業計画』だけは作成して残りは開業してから」では、取り返しがつかない又は取り返すのに多くの時間を必要とする場合もあります。
 ライフプランを検討したからといって、そのとおりに進むとは限りません。しかし、今は実現不可能なものであっても「実現したいこと・なりたい未来」がはっきりしていれば、何をいつまでにどう修正したらいいかが明確になります。

 開業時に検討しておくとよいライフイベントとしては次のようなものがあります。
①ご両親の相続対策(開業時にはご両親から資金の協力をしてもらったりと、少なからず相続への影響があります。開業を前に相続対策を検討されることが望ましいです)
②引退時期(開業してすぐに何を!?と思われるかもしれませんが、開業したからには必ず廃業するのですから必須事項です)
③引退の方法(廃業・子どもに承継・第三者に承継など)
④退職金のおおよその希望額
⑤退職後の生活・毎月の必要資金等
⑥生命保険の加入・見直し
⑦自宅の建築、住宅ローン、火災保険

 開業後にお世話になることが多い会計事務所は、先生の医院経営に関する会計と税務のご相談にだけお答えをしているわけではありません。先生ご自身、奥様とお子さまのそれぞれのライフプランを実現するために、一緒にライフプランを考えていくブレーンとしての存在です。
 まずは開業というタイミングで、相続をはじめとするライフイベントについて少しだけ専門家にご相談をされてはいかがでしょうか。

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⑬開業前にこそやっておきたい経営戦略の立案


 昨今の医院の経営状況を鑑みていくと、開業すれば放っておいても患者さんが集まるという時代は終わり、医院経営も成り行き経営では成り立たない状況になってきました。特に都市部においては機能分化の波の中、漫然と手をこまねいていては生き残りすらも厳しく、診療所の存在価値を発揮するためには戦略の立案は不可避の課題になってきています。

 戦略の立案は開業前の段階から準備する事が出来ます。そして、戦略立案の視点としては大きく2つのアプローチが存在します。マーケットインとプロダクトアウトです。
 マーケットインは市場ニーズつまり医院経営においては主として周辺医療機関ニーズと地域患者ニーズの追求を中心とするマネジメントスタイルです。開業前であれば診療圏調査を実施したり、開業後であれば患者満足度アンケート調査などを活用しながら取り組むことになります。
 それに対してプロダクトアウトというスタイルは自分のやりたい事から入り、それを現実的に強化していく方法になります。こちらのアプローチは最終的には医院の「強み」とそれを生みだす「努力」を明確にして、強みを生みだすためのストーリー(知的な活動の連鎖)を作りだしていきます。この実践を通じて、医院の付加価値(ブランド)作りにも寄与する方法です。

 そして、プロダクトアウトでの戦略立案を具体的に実行するには業務の流れを枠組みで把握していくことが最初はとても有用です。つまり、「理念⇒戦略(努力)⇒強み(こだわり)⇒サービス」という大枠での流れに知的な活動をあてはめながらフローチャートを作り、業務全体の流れをストーリーとして整理していくことから始めます。
 たとえば、糖尿病を専門とする内科医院があります。この医院の強みは「病院嫌いで医療機関を避けている患者さんを集めることが出来るノウハウ」です。この強みを生みだすための努力として、この内科医院では院内でフラダンス教室などの運動イベントを開催するほか、地域での自治会や老人会において楽しい健康講座にも講師を派遣しています。このような運動療法や時には食事療法の情報発信に力を入れることを通じて、病院嫌いの方々が持っている「病医院=薬物療法、暗い、きつい」のレッテルを上手に回避し、病院嫌いの患者さんの支持を得ていきます。健康講座では積極的に参加者一人一人とのコミュニケーションを図り、患者さんとの心の距離も縮めています。このような強みを生む努力を通じて、強みを維持し、医院の理念である「一人一人に寄り添う」という価値を実現しているのです。

 このようなストーリーができると医院にブランド価値が発生することにもつながっていきます。正しいストーリー作りには時間を要するものです。開業前にこそ、医院の価値創造のストーリー作りに時間を割いておかれることをお勧め致します。

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⑫あえて激戦地に開業するという選択

 帝国データバンクの調査結果によると、2010年の病院・開業医の倒産は41件で、過去最高を記録した前年の52件を下回る結果となりました。倒産が減少した要因としては金融円滑化法の影響で一時的に借入金の返済が止まっている様相が推測できます。返済が再開される2012年には、その反動も懸念されるところです。41件の内訳をみると、病院の倒産が13件、医科診療所が16件、歯科診療所が12件となっております。負債総額でみると、病院191億2,000万円、医科診療所129億5,400万円、歯科診療所31億3,300万円です。

 このような時代の中で新規開業をするにあたり、立地の選定はこれまで以上に慎重に行わざるを得ない状況です。しかし表面的な診療圏調査では、いわゆる穴場は都市部では見つけられなくなってきました。最近では表面的な数字にとらわれ過ぎると開業地がなかなか見つからず、開業に踏み切れない勤務医の方が増えています。そこで、診療圏調査では来院予測患者が少ない立地でも、開業に成功するためのポイントを列挙してみたいと思います。

 1つ目は競合医院の院長年齢を詳しく調べることです。診療圏調査では院長の年齢までは来院予測に加味されないケースがほとんどです。よって、80歳の医師も40歳の医師と同数の患者を診ると想定されます。その地域での開業医の高齢化が進んでいる場合、診療圏調査の予測以上に患者さんが来られることは想像に難くありません。

2つ目は特異性の発揮です。CTやMRIなどの高額な医療機器を設置するか、専門性のある医療サービスを提供することによって一般的な予測診療圏より広範囲な診療圏から患者さんを確保でき、そして同じ診療科を掲げている診療所とも連携が可能になります。たとえば、内科の中でも代謝内科、消化器内科、循環器内科、血液内科、腎臓内科などで高度な専門医療を提供する診療所や、往診の後方支援体制のある有床診療所は、小規模な専門病院のような存在感を発揮し、他の内科診療所との連携が現実に生じています。

 3つ目は病院との連携です。これまで病診連携という言葉はあるものの、地域によっては積極的に連携の進んでいない地域が多くありました。しかし、地域医療支援病院のような紹介・逆紹介重視の病院が増え、病院の経営改革も進んでいく中で外来機能の分離を進めていきたい病院は、今後まだまだ増加していきます。よって、今後は病院の方向性に関する情報を集めた上でその最寄りで開業することも大事なポイントになります。

 以上、激戦地でも成功する要因を列挙させていただきましたが、どのような穴場で開業したとしても、その後、環境が変化しない保証はありません。一番大事なことは最初の患者数が少なくても、じっくりと伸ばせるような、いわゆる“自力”を強化することになります。競合の増減に左右されることなく医院の特異性を適切に活用し、経営基盤を地道に確立していくことが最重要課題です。地域のために自分と周囲を活かすマネジメントの実践こそが、激戦地であっても開業を成功させるための必要な方策となります。

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